熊本地震被災母子世帯調査

震災後2016年6月、熊本を拠点に活動するNPO法人子育て応援団みるくらぶの市原由美子事務局長にご協力いただいて、被災母子世帯2名に話を聞くことができました。

その内容の一部を掲載します。

下記、2ケースは、いずれも月収(手当含め)15万~16万ほどで、家賃4万円ほどの賃貸住宅に居住していました。住宅はかなり老朽化していたようで、震災により全壊しています。

やはり、平時の住まいの質の底上げは必須だと、彼女らの話を聞いて改めて痛感しました。

 

◇ みなし仮設住宅を探す

 Hさんも、Iさんも、罹災証明を受け取り、全壊判定となった。そこから、市内にて住宅を探し始めるも、まったく物件がないのだという。

 みなし仮設住宅の適応を受けることができれば、最大2年間、4人家族で、上限6万円、5人以上の家族で上限9万円の民間賃貸住宅に入居することができる。

 Hさんは、罹災証明を受け取ったその日から、住宅探しを始めた。しかし、手ごろな住宅がなかなか見つからなかったという。被災した住宅のオーナーが手を尽くし、紹介してくれたが、全て学区外だったため、断っている。子どもを転校させることに抵抗があったHさんは、あくまでも、学区内での転居に拘った。最終的に、学区内に3DKの物件があると聞きつけ、Hさんは即決している。その住宅は、みなし仮設住宅家賃上限の6万円と共益費が持ち出しで5千円なのだという。「持ち出し部分は痛かったですが、これを逃したらもうないかもしれない」と語っている。

他方Iさんは、「業者に何度電話してもだめです。とにかく、物件がないんです。びっくりするのは、今まで、4万円くらいで貸していた住宅が、6万円で出てて。しかも、共益費別となっているんです。」というように、未だ、住宅探しは難航していた。

Iさんは、仕事の合間を縫って、辛抱強く、住宅探しを続けているが、なかなか思うような住宅が見つからないという。

「今日、実は、内見行ってきたんです。オール電化っていうから、見に行ったら、小さなキッチンに、卓上IHが1台置いてあるだけで。1DKで5万円って言われて。焦ってたので、入居しますっていちゃったんですよね。でも、中学生の娘と二人、二部屋はないと無理かなって。それに。あの住宅で、5万円というのは。納得できなくて。でも、断ったら、入れる物件がなくなっちゃうんじゃないかって。」

 

◇ 2年後どうなるのか不安

 HさんもIさんも、全壊判定を受けたことで、「2年間息継ぎができます。」と語っている。

全壊し、住まいを失ったにもかかわらず、息継ぎができるとはどういうことかと思われるかもしれない。理由は、向こう2年間、家賃が不要になるということである。これを聞いて、読者の中には、不謹慎だと思われる方もいるかもしれない。しかし、それほど、平時の生活事情がひっ迫しているからこそ出た言葉だと、筆者は理解している。しかも、彼女らは、浮いた家賃分を「子どもの教育費に回してやれる」と語っているのだ。

 Hさんは、「子どもが3人もいるから。やっぱり、将来は気になります。この先、どれぐらいお金がかかるんだろうって。昨年は長男が手術をしたりで働けない時期もあって。被災する前も家賃が高いので、県営に応募してみようかって。その矢先だったんです。本当に、生活はすごく大変で。私は実家に戻ることもできないんで。でもなんとかなるさって。信じるしかないですから」と平時の窮状を語ってくれた。

 また、Iさんは、楽しそうにクラブ活動に専念する娘の姿を嬉しく、その反面、不安になりながら見ていたという。クラブ活動には想像以上にお金がかかる。道具を揃え、遠征のための費用も必要になる。「意外にも、娘がクラブ活動を楽しいって言って。できれば続けさせてやりたいじゃないですか。娘には、ママがもうギブアップというまでやっていいから」と伝えていたのだという。お金がないから、できないということは、絶対にしたくないと、日勤に加え、Iさんは夜間の仕事も増やしていた。現在の職場は、夜のシフトも頼めば入れてくれるのだという。時給は変わらないが、手取りの給料は増えるからとIさんは笑った。

 他方で、2人とも、2年後、みなし仮設住宅制度が終了した後が不安だと述べた。これまで、低家賃住宅で暮らしてきた彼女らにとって、56万円という家賃は到底払えないというのである。そのため、何の補助もなければ、2年後は住み替えが必至とのことであった。しかし、震災後、低家賃住宅が少なくなり、家賃相場が跳ね上がっていることも、彼女らの不安を煽っていた。2人とも、県営住宅への入居に期待を持っていたが、これまで、空きのあった県営住宅は震災後、どこも満室となっているのだという。

 Iさんは、「車を持ってないんで。今の仕事を続けるとなれば、この辺りに拘るしかないんです。もう、年齢的に転職も難しくて。やっと見つけた仕事なんで。手放したくないんです」と必死に訴えていた。

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