「ケア相互補完型集住」シェアカルテ14 鹿児島初のシングルマザー向けシェアハウス 多様な関係機関が連携し協同して生活の場をつくる。(有)窪商事のチャレンジ

○ 鹿児島県初のシングルマザー向けシェアハウスが誕生  
2017年3月1日、鹿児島市騎射場にシングルマザー向けシェアハウスが開設する。  
シングルマザー向けシェアハウスは、就労の機会が豊富にあり、家賃相場が高い都市部に集中する傾向が高い中にあって、今回紹介する事例は地方型事業モデルとして希少かつ貴重なものだ。
なにより、シェアハウスという住まい方が全く浸透していない土壌。そこで、「シングルマザー向け」というコンセプト型のハウスがどのように受け止められ、馴染んでいくのか。その点も非常に興味深い。
  都市部と同様に、地方においてもシングルマザーの住まいの確保は厳しいと聞く。保証人の問題、また、月々の家賃はもちろん、敷金礼金等の高額な一時金は、ただでさえ苦しい彼女らの生活を大きく圧迫する。
 こういったシングルマザーの住宅確保問題を少しでも緩和しようと立ち上がったのが、(有)窪商事の窪勇祐代表だ。自身も父子家庭で育った窪代表。幼い頃はベビーシッターに育てられ、ある程度大きくなってからは、自宅にて1人で過ごすことが多かったのだとか。
「父は仕事や付き合いで忙しく、なかなか家に帰ってこない。寂しいなあって。誰か一緒に生活していたらそれもずいぶん違っただろうなと」と当時を振り返る。
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            写真1 ハウスの最寄り駅(事業者より提供)
 
 ハウス開設のきっかけは、RC三階建て1階部分のワンフロア(150㎡)の用途について検討を始めたことだった。場所は、鹿児島中央駅から路面電車で約10分。規模も大きく、ファミリー向けとして貸し出せば、すぐに契約が決まりそうな優良物件だ。 「普通に貸せばある程度の賃料は見込めます。でも、それだけじゃあ面白くないなって。何か、地域のために貢献できる用途があれば」と思いついたのがシングルマザー向けシェアハウスだったのだ。
○ 人と人をつなぐ、関係を「つむぐ」ことの重要性
「人と人をつなぐことが趣味」と公言する窪代表。
 シングルマザー向けシェアハウスに先駆けて「つむぐば」というコミュニティスペースを開設、運営している。  場所は、事務所の一角。かつては、居住スペースだった物件を、改築し、地域の人々が利用できる場として開放しているのだ。
 賃料も、3時間まで500円、3~6時間まで1000円、1日利用で1500円ととてもリーズナブル。いまでは、会議にお茶会、サークルに食事会など様々な用途で多様な人がここを利用する。
              写真2 つむぐばでの集いの様子(事業者より提供)
 
 興味深いのは、鹿児島大学の工学部の学生さんを集めてDYIリノベーションをしたという点。「単に、業者に頼んで改築しても、関係に広がりが見いだせない。色んな人が、色んな思いで、この場にかかわってほしいと思って。学生さんたちも、創ることを実践できて楽しんでくれました」と力強く語る。 そんな窪代表の周辺にはサポーターがたくさん。
 筆者が現地を訪れたのは、2016年の年の瀬。そんな慌ただしい時期にも関わらず、10名ものメンバーが集結してくれた。更に驚くのはその面々。不動産、法律、保育、街づくり、医療、メディアに福祉など、多方面のエキスパートがこの事業にかかわっているのである。その中には、現役のシングルマザーも参画しているというから驚きだ。
 入居者を全面的にバックアップしたいという思いが先走る窪代表。こういったサービスもああいったサービスもと夢を膨らませる。
 それに対して「収支は?」と周囲はかなり手厳しい。「窪さんは、いつもそうなんだから」とやり込められる光景に、筆者も少し笑ってしまった。
「何も知らない一事業者が居住者を抱え込んでも課題は増えるばかりです。みんなで協働して情報を共有すれば課題解決も早いはずです。事業主の僕が知らない情報も当然あるわけで。適切な人、情報を入居者につなぐ。その環境づくりが僕の仕事かなって思っています。」とのこと。  住宅確保用配慮者の居住支援については、住まいを提供する不動産関係業者のみならず、受け皿となる地域、更には、入居者の生活を支援する多様なアクターの連携の必要性が声高にいわれるようになった。窪代表の事業手法は、まさに、その先行事例といっても過言ではないだろう。
○ 多様なサービスでシングルマザーを支える
 
 2016年6月以降、複数回の相談会を開催し、地元母子世帯の実情やニーズの把握に努 めてきた。「転居を考えているが資金繰りが難しい」、「実家を出て独立したい」「DVでも入居できるか」など相談内容は様々。その都度、メンバーとともに、課題をつきあわせ企画を練り直してきた。
            写真3 コモンスペースとなる23畳のLDK
 
  定員は5世帯。賃料は、35000円から37000円、そこに35000円の共益費が加算される。礼金、敷金はないが、デポジットとして30000円を徴収する。これから仕事を探し生活を立て直すシングルマザーの入居も可能だが、その際のデポジットは家賃の3か月分(105000円)と高めに設定した。但し、条件が合わないと入居をあきらめず、何でもとにかく相談してほしいと窪代表。 
 このほか、入居のハードルを下げようと、保証人は不要とした。

                                        写真4 広々とした明るい個室(事業者より提供)

 共益費のうち、2万円は、週に2回の夕刻(1日4時間、週あたり8時間)のチャイルドケアと夕食に充てられる。日々、孤軍奮闘するシングルマザー。自宅と保育所と職場のトライアングルを往復して1日が終わってしまうと嘆く声はよく聞かれる。夜間に開催されるキャリアアップ講座や資格取得のためのスクールも、育児の支援がなければ利用はできない。

写真5 トイレは2カ所配置。お風呂のほか、シャワーブースを完備。(事業者より提供)

時間の余裕は心の余裕につながるだろうって。そうなると、子どもとの関係もちょっと変わってきたりして。そういった意味で、たとえ、週に2回でも、お母さんの自由時間を確保することを前提に企画を進めてきました」と窪代表。このほか、働くシングルマザーの助けになればと、訪問型病児保育を運営するNPOとも連携する。 こういった手厚いサービスは、幼い子を抱えて一人で踏ん張る女性たちの大きな助けになることは間違いがない。 2017年2月吉日。ハウスのリフォームが完成した。居室は、7.5畳が3室、8畳、そして10畳の5部屋。LDKはなんと23畳。かつてあった4.5畳の納戸はシャワールームとした。
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               図面1 シェアハウスの見取り図(事業者より提供)
「ここでみんなでご飯を食べるんですよ。そして、ここで子どもたちが遊んで、それを見守りながらママさんたちが茶を飲んで。庭で子どもが遊ぶ様子もほら、リビングから見られるでしょ。」と目を輝かせながら説明するメンバーたち。  この空想が、現実のものとなる日ももう間近。鹿児島発のシングルマザー向けシェアハウス。今後、入居者が決まれば、継続的にモニタリングしていく予定である。
 窪代表からのメッセージ
 なんでも一人で抱え込まず、まずは相談してください。入居基準についても、適宜ご相談に応じる方針です。ハウスへの入居ができなくても、多様なメンバーがいるので何かにつながる可能性もあります。
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〇お問い合わせ
有限会社 窪商事 窪勇祐(代表)
所在地〒890-0056 鹿児島県鹿児島市下荒田3丁目33−8
窪勇祐のメールkuboyuusuke@gmail.com
Facebook https://www.facebook.com/singlemother.sharehouse/?pnref=story

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