去る10月5日に母子世帯向けシェアハウス全国会議が開催されました。

当日の報告資料をアップいたします(2018、10、22)

日本学術振興会RPD研究員 葛西リサ 葛西リサ報告

国土交通省 国土技術政策総合研究所 長谷川洋氏 国総研長谷川洋氏ご報告

(一財)ペアレンティングホーム 秋山怜史氏 ペアレンティング秋山怜史氏ご報告

〇 全国の母子シェアハウス(母子SH)事業者が集結し、課題や解決策の共有の場に

 去る、2018年10月5日に、母子世帯SH全国会議が開催された。会場は(一財)住総研が提供して下さり、開催準備等、全面的にご協力をいただいた。

 参加者は、母子世帯向けSHを手掛ける事業者、母子世帯に空き家を提供したいと考える不動産関係主体、大手シェアハウスポータルサイト業者、国土交通省安心居住推進課、国土交通省 国土技術政策総合研究所、シングルマザー支援を専門とするNPO、シングルマザーの居住支援を専門とするNPO、都市計画、住宅政策を専門とする法律家、住宅政策や母子世帯問題研究を専門とする研究者、住宅・まちづくり系コンサルなど、50名弱が集結。

【WEB用】シェアハウス会議チラシ (2)

  議事は、1)葛西より、挨拶、会議の趣旨説明、2)(一財)ペアレンティングホーム 秋山怜史氏より、「ひとり親向けシェアハウスの円滑な連携と運営に向けての提案」、3)国土交通省国土技術政策総合研究所の長谷川氏より、「ひとり親世帯向けの共同居住型住宅の登録制度の創設に向けた基準の検討案」の解説を頂いた。これらの議題を受けて、参加者全員で4)ディスカッションを行った。

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 営利企業による母子SHの開設は2008年頃からスタートしており201810月現在、総開設戸数は30カ所を超えるが、経営難等の課題から閉鎖する事例も少なくない。全国会議発起人の葛西は、2008年から全国11都道府県、30カ所のハウスを行脚し、その実態を調査してきた。(その内容は、拙著、母子世帯の居住貧困(2017)、住まい+ケアを考える~シングルマザー向けシェアハウスの多様なカタチ~(2018)を参照いただきたい。)

 その調査過程で、多様なタイプのシェアハウスが存在するも、入居者対応など、酷似した課題に躓く事業者が多いこと、また、シェアハウスの存在がエンドユーザーに伝わらず集客に苦戦する事案が多いことが分かってきた。これまで不動産市場から排除されがちであった、母子がようやくそのターゲットになりつつある。この好機をいかし、全国的にその取り組みの意義を確かめ、各自抱える課題を共有すべく、会の開催を企図するに至った。

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〇 全国の母子世帯向けシェアハウス事業者が連携する意義

 そもそも、なぜ、全国会議が必要なのだろうか。その意義として葛西からは、7つの点を挙げた。

1 組織力を強化し母子SHの認知度を高める。

 同事業は新規性が極めて高く、よって、それが住まいの選択肢になりにくい状況がある。たとえ、シェアハウスという住まい方に抵抗がなくとも、住まい選びは「エリアや家賃」で絞り込んでいくことが一般的であるため、シェアハウスにヒットしないという課題がある。よって、母子SHの組織力を高め、ハウスのメリットを広く周知することで、母子SHのブランド化を図る必要がある。

2 クリーンなイメージづくりを

 シェアハウスに絡む事件、ニュース等の風評被害は大きく、葛西へもあらゆる関係機関から「紹介したいけど危なくない?」などの相談を受ける機会が増えてきた。こういった悪評判を払拭するため、組織化し、基準やマニュアル更には、認定制度(NPO法人の母子世帯支援者養成講座などを活用させていただくなども視野に入れる)など、事業の透明性を図る必要がある。

3 情報や課題を共有し、運営の合理化を図る

 開設、管理、運営、入居者支援に至るまで酷似した課題に直面し、その解決に苦戦する事案は全国的に見受けられる。例えば、シェアハウスでは児童扶養手当の受給が「前例がないため」難しいなどの指摘を受ける案件は、首都圏以外の地方ではまだ聞かれる。事業者が個別に行政機関に出向き、時間をかけて説明を行うことは負担が重い。団体として、共通の課題をマニュアルにまとめるなど、合理化を図る必要がある。

 4 組織化により幅広い入居者ニーズを掬い上げる

 各事業者のターゲットと相談者のミスマッチが全国で見受けられる。離婚ができていないため、制度が受けられない、無職である、保証人が確保できない、暴力から逃げている、未婚で出産を考えているが、独居に不安を感じるなどそのニーズは幅広いが、その受け入れが難しい場合もある。結果、せっかく情報に辿り着いた入居者をそこで取りこぼすこととなる。全国には、職業斡旋型、就労支援型、介護職人材確保型、生活保護受給可能、このほか、妊婦の受け入れ可、子どもの年齢制限なしなど、幅広いニーズに対応するハウスが存在する。全国の事業者が入居ニーズを共有する仕組みを作れば、母子SHセーフティネットの実現が可能になるのではないか。

 5 組織化により課題を集約し制度要望につなげる

新たな住宅セーフティネット制度が2017年秋よりスタートした。母子SHが制度として位置づく可能性を組織化により模索できないか。また、社会貢献性の高い事業であるため、行政の助成金獲得の機会も高いと想定される。国交省、厚労省関係のモデル事業等の助成金情報の共有により、更に幅広い事業が展開できるのではないか。

6 異業種連携による母子SHモデルの発展の可能性を模索したい

 母子世帯への居住支援は、ハコ(住宅)の提供により完結するものではない。そこに就労はあるか、保育はあるか、コミュニティはあるかはもちろん、彼女らの生活や心を支えるNPOの存在など、専門家組織の存在があることが望ましい。つまり、点ではなく、面的に彼女らの生活を支える仕組みが求められる。本会議をきっかけに、母子世帯型居住支援協議会のようなものが組織できないか。

7 母子世帯(ひとり親)の居住を長期的視座で考える

 母子SHの取り組みに注目が集まっているが、母子SHはスペースの限界から一過性の住まいとならざるをえない。当事者の生活を切れ目なく支えるには、母子SHを卒業するケースはもちろん、母子SHに適応できないケースなども視野に入れ、長期的視座でその生活を支える仕組みをつくることが望ましい。これまで、不動産市場から排除されがちであったひとり親をターゲットにする不動産関連主体が増えてきている。この好機を逃さず、シェアを突破口として、ひとり親向け居住支援システムの構築を目指したい。

 全国的に見ると、シェアハウス事業者が有する自社の一般賃貸物件等をシェアハウス卒業生に開放する、地方の案かな空家を購入し希望者にサブリースするなどの事例も存在する。また、全国会議には、旧雇用促進住宅約10万戸を所有する、投資企業フォートレスインベストメントも参加しており、こういった企業との連携により安定的な住宅へ移行する仕組みを作ることも視野に入れる必要がある。シェアハウス事業に留まらず、入居者の生活を長期的視座で支える仕組みを作ることを提案したい。

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今後、全国会議の資料や全発表者のPPT、議事録などをネット上にアップする予定です。ご興味のある方はご一報くださいませ。

 

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