第2回、母子世帯向けシェアハウス 全国会議が開催されます

来る2019222日に、愛知県名古屋市にて、第2回母子世帯向けシェアハウス全国会議が開催されます。同会議は、母子世帯のためのシェアハウスを運営する事業者やそれにかかわる関係者が一堂に会し、支援の課題や解決策について共有する場となります。

是非、ご興味のある方は、奮ってご参加ください。

会議の開催に先駆けて、本ブログでは、なぜ、母子世帯向けシェアハウスが注目されているのか。また、そのメリットや運営上の課題についてご紹介した上で、会開催の意義を整理していきます。

〇 シェアハウスとは何か

 

 シェアハウスとは1住戸に非血縁にある複数の世帯がともに暮らす住まいです。

 風呂、便所、台所などの水回りのほか、居間などを居住者で共有するタイプのハウスが多いのですが、最近では、水回りが居室に完備されているけど、それとは別に共有のLDKがあるなど、建物内にシェアする空間が1つでもあれば「シェアハウス」と表現する場合もあり、その定義は明確ではありません。

  2008年に、営利企業による社員寮転用型の母子シェアハウスが開設されて以来、その数は、少しずつ増加しており、20191月現在、全国に30か所ほどのハウスが存在します。

では、そもそも、なぜ、営利企業が母子向けシェアハウスなのか。これには、やはり、空き家の増加という要素が強く影響しています。2013年の住宅・土地統計調査における空き家率は13.5%であり、この数字は、今後、確実に上昇するといわれています。

これに危機感をもつ事業者が、これまで不動産市場では排除されがちだった層を消費者として位置付ける仕組みを模索し始めているのです。その1つのチャレンジが「シェアハウス」ということになります。

〇 なぜ母子シェアハウスなのか

 2013年の厚労省の調査によると半数が、母子世帯になった当時、手のかかる未就学児童を抱えていたと回答しています。仕事を探すも、保育所が確保できないために、就職がうまくいかない、就職がきまらないため、安定した住宅が確保できないなど、どこから手をつけていいか、優先順位を決められず、自立が大幅に遅れるというケースは非常に多いのです。また、仕事が決まっても、育児と仕事の両立に躓き、生活が破綻するという事例も少なくありません。

 

 こういった事情を、「居住者同士の支え合いにより克服する」といのがシェアハウスのコンセプトです。しかし、生活上のあらゆる課題を互助のみで解決するにはかなり限界があります。そこで、シェアハウス事業をベースに保育所を併設したり、就労機会を提供したり、育児サービスや食事サービスを付帯したりというハウスが登場してきました。

 シェアハウスと一口にいっても、ハードもソフトも多種多様です。また、そのニーズには地域性も強く影響していて、都心でウケた事業モデルが、地方や郊外でマッチするとは限らないのです。土地柄、ターゲット階層、そこにある地域資源など、いろんな要素を考慮して事業を確立することが求められるわけです。

 なお、シェアハウスのタイプや特徴については、本ブログの全国行脚シリーズを参考にしてください。

 

〇 シェアハウスのメリット

 筆者は、2008年頃から母子シェアハウスの事例調査をスタートし、30数か所のケースを集めてきました。また、入居者へのインタビューなども行い、その効果の検証もおこなってきました。

これまでの聞き取りを通して確認した効果はスライド1にあるように4つ。

ハウスメリット

スライド1 シェアハウスと4つの貧困解消の可能性

 

 一つは居住貧困の解消。シェアハウスは入居ハードルが低い物件が多く、住宅確保に困難を感じている母子の受け皿になりえます。また、家賃も手ごろで、立地の割に居住環境が良好という物件もたくさんあります。

 二つ目は、経済貧困の解消というメリットが挙げられます。中には、就業斡旋を行うハウスや介護等の仕事が準備されているハウスもあり、入居をきっかけに仕事に就き収入を得ることができたという声もあります。

 三つ目は、関係の貧困解消というメリットです。ハウス居住者で多いのが、頼る実家がないというケースです。妊娠後期になり、助けてくれる人が誰もおらず、シェアハウスに飛び込んでくるというケースにも出会いました。ハウスにはいって、居住者同士のコミュニティのほか、ハウスオーナーの手厚い支援や密な地域ネットワークに助けられたという回答もありました。

 四つ目は、時間の貧困の解消という利点です。住棟内に、仕事や保育がセットされているというハウスもあります。

 

 生活を合理化することで、時間の余裕ができたという事例が、スライド2です。

ハウスに入居し、「以前よりも、収入は減ったけど、自由時間は2時間増えた」という回答が印象的でした。浮いた時間を子育てに充てる一方、資格取得のための時間に使うことができたと喜んでいました。その後、積年の夢であった職に就いたという報告を受けました。

 

時間貧困解消

スライド2 シェアハウス入居前後の生活時間

 

〇 ハウス運営の課題

 一般の不動産経営と異なり、シェアハウス事業、特に、シングルマザー向けシェアハウスの運営にはノウハウが必要です。子どもがいる分、居住者同士の関係性も複層的になり、単身向けシェアハウスの2倍、3倍と手がかかるという声もあります。

 運営の課題は、当然のことながら、ハウスの入居者層によって大きく異なることがわかってきました。具体的には、収入とケアニーズの高低が運営に影響を与えると推察されます。例えば、高収入階層の場合、ソーシャルワークへのニーズは高くはないのですが、就労環境を維持するための日常の家事育児ケアニーズが高くなる傾向があります。

 他方、低所得階層であっても見守りや相談全般程度の支援をすれば安定した生活ができるケースも勿論ありますが、やはり、多様な生活課題を抱え、手厚いソーシャルワークが必要なケースが目立ってきます。

 ならば、高収入階層をターゲットにすれば運営はうまくいくのか。実際は、高収入階層がシェアを選択するような、メリットを提示しなければそこをなかなか取り込めませんし、スライド3にあるように、母子世帯の収入階層は200万円未満がボリュームゾーンです。

ハウス階層性

 実際は、この階層にターゲッティングして、家賃の不払いや疾走、子への虐待、DV問題の表面化、精神疾患等への対応など、複層的な課題に対応できずに、閉鎖を選択するという事例も少なくありません。

 

〇 なぜ、全国会議が必要なのか

 空室を埋めるための対策だとしても、よくよく掘り下げてみると「社会貢献ができれば」と善意で事業に乗り出したケースはとっても多いのです。採算が合わなくても、社会のためにと継続している事例もありますし、泣く泣く閉鎖を選択するケースもあります。

 もちろん、どんなによいハードがあり、コンセプトがよくても、当事者に情報が届かなければ入居者は集まりません。一般賃貸とは異なり、シングルマザーに情報を効果的に届ける策があるかどうか。ここが事業の大きなポイントとなるのです。

 また、集客ができたとしても、「福祉的な対応にマンパワーがさかれて身が持たない」などという事情もあります。この解決にはやはり、ネットワークが必要になるのです。

 例えば、DV問題を抱えている。生活保護の受給が必要となった。精神的に浮き沈みが激しく、入居者とトラブルになる。事業者としてもハウスの統制がとれず、ほとほと困って行政相談に行くも「使える制度ありません」と言われ、仕方なく事業者が独断で支援をしてしまうということもあります。

 しかし、よく話を聞くと、使える制度は実際にあったのに、それをうまく引き出せなかっただけということもあります。結果、当事者は本来使える制度が使えず、事業者は大きな負担を強いられるという双方に大きなデメリットをもたらすわけです。

 せっかく、母子に住まいを提供しようという事業者が出てきても、このままでは、パイが増えないどころか、既存のハウスについても継続性が危ぶまれます。

 

 福祉的な支援が必要な場合には、専門家と連携をして、当事者を支援していくというチームワークが必要になります。もちろん、シェアハウス事業者同士の連携も必要です。シェアハウス運営という共通課題に対して、解決方法を共有することはもちろん有効だといえます。

 しかし、それを超えて、ハウス事業者を含む、不動産関連事業者と母子支援にかかわる行政やNPOなどの関係機関が連携することができれば、より多くの母子を支援することが可能になります。

 こういった素地を作るために、まずは、全国で実際に母子への居住支援をしている事業者が参集し、情報共有をすることが極めて重要であり、これこそが、母子世帯(ひとり親)の居住支援の必要性を周知する起点となるのだと考えています。

 

 また、多くの方々に母子(ひとり親)の居住支援の重要性を知っていただくことも重要です。対象は空き家を社会貢献に活かしたいと考えておられる個人、不動産関連主体、ひとり親支援に興味のある方々、子どもの貧困に関心のある方々など。多様な方にご参加いただきたいと思っています。是非、一緒に、ひとり親の住まいの問題について考えてみませんか?

第2回全国会議チラシフォト

 

 

お申込みは以下のフォームからお願いします。

https://pro.form-mailer.jp/fms/9fb38638162967?fbclid=IwAR2PP54npR2LXxTu9ENu3cIIK3Vx5HouZWa3IGIFjoRV8B_wA_wrd4COZNs

 

 

 

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