研究会にて報告をいたします。私の要望で、比較住宅都市研究会主宰の海老塚氏に家賃負担率と家賃補助政策に関する講演を併せて開催していただくことになりました。ご興味のある方はぜひ。東京での開催です。
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日時:2016年6月15日(水)18時00分~20時00分
テーマ:母子世帯の住生活問題とシェアハウスの可能性
報告者:葛西リサ氏(大阪市立大学都市研究プラザ 特別研究員)
要旨:
2005年、OECDが日本の母子世帯の子どもの貧困実態を取り上げたことを契機に、母
子世帯問題にようやく光が当たりはじめた。その過酷な生活実態はメディアなどでも
頻繁に取り上げられるようになり、彼女らに対する社会のまなざしは、「特殊な人々
の問題」から「身近な問題」へと徐々にシフトしてきているように感じられる。厚労
省は、「福祉から就労へ」をスローガンに、母子世帯の就労支援に力点を置き始めて
おり、如何にして、彼女らの貧困問題を解決するか、就労、所得保障、育児支援、父
の扶養義務など、多角的な視点から調査研究が実施されている。しかし、そこに「居
住」という視点は一切出てこない。この「居住」こそは、あらゆる生活の基盤であ
り、すべての生活行為が重なるプラットフォームである。むしろ、この「居住」に、
就労等、上記の要素は規定されると言っても過言ではない。つまり、現行のひとり親
向けの施策は母子世帯の自立にとって不可欠な要素(就労支援、育児支援等と住ま
い)がまばらに羅列されるに留まっており、それがゆえに、その成果も不振に終わっ
ているとも言える。
居住保障の欠落こそが、母子世帯の生活行為を大きく制限し、結果的に、彼女らを
経済、居住の両面で貧困に貶めているメカニズムを整理し、その問題を打破する可能
性を持つ、母子世帯向けシェアハウスの可能性について報告いただき、議論する。
講師のプロフィール:
1975年大阪府堺市生まれ。博士(学術)。神戸大学大学院自然科学研究科修了。大
阪市立大学都市研究プラザ特別研究員。大阪体育大学健康福祉学部非常勤講師、神戸
松蔭女子学院大学非常勤講師。ひとり親世帯(母子、父子)、DV被害者、低所得高齢
者等の住生活問題を専門とする。主な著書に、「あたりまえの暮らしを保障する国デ
ンマーク」ドメス出版、「これからの住まいとまち」朝倉書店ほか。2016年度、(一
財)住総研の出版助成を獲得し、来春、日本経済評論社より「母子世帯の居住貧困
(仮)」を出版予定。
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会場:首都大学東京同窓会 八雲クラブ
ニュー渋谷コーポラス10階 1001号室
渋谷駅 徒歩5分 渋谷区宇田川町12-3 電話 5489-8123
(地図はホームページhttp://www.comp.tmu.ac.jp/dousoukai/activity/club/index.
html参照)
参加費:1000円(会場費、飲み物などの費用として利用します)
*参加希望者は、資料及び会議室の準備の都合がありますので、あらかじめEメール
で、氏名、所属をご連絡下さい。ご連絡がなく出席の場合は、原則として資料をお渡
しできません。申し込み後に欠席等する場合も、お手数ですがメールでご連絡下さ
い。
問い合わせ・申込み先:比較住宅住宅研究会事務局 海老塚良吉
E:mail:ryou.ebizuka@nifty.com ホームページ
http://home.g08.itscom.net/ebizuka/
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当日は、葛西リサ氏の要望で下記の研究会も同時に開催します。
日時:2016年6月15日(水)15時00分~17時00分
テーマ:家賃負担率と家賃補助政策
報告者:海老塚良吉(比較住宅都市研究会主宰)
要旨:
主要な先進諸国では、住宅政策の最大の財政支出は、低所得者に対する家賃補助政
策である。しかし、日本では家賃補助は、住宅政策としては、地域優良賃貸住宅や高
齢者向け優良賃貸住宅などで、かつて、わずかに実施されただけで、福祉政策の中の
生活保護世帯に対する住宅扶助費が、実質的には家賃補助政策に該当する。収入に占
める家賃負担率の限度額を計測して、これを超える負担をしている低所得層を援助す
るというのが、家賃補助の基本的な考えであり、日本でも昭和40年代には家賃負担率
の研究が行われ、世帯人員、世帯年収別に家賃負担の限度額が基準化されて、住宅政
策の基礎データとされた。しかし、家賃負担率の考えは、使われなくなり、家賃補助
政策の議論は日本では失われていった。これまでの家賃補助をめぐる住宅政策の流れ
をレビューして、今後の家賃補助政策をどのように展開していく必要があるかを議論
する。
講師のプロフィール:
1950年横浜生まれ、東京都立大学工学部建築学科、同大学院卒、1976年から2010年
まで住宅都市整備公団(現都市再生機構)に勤務。この間、国連地域開発センター、
日本住宅協会などに出向。法政大学現代福祉学部非常勤講師(2007年~2012年)な
ど。
会場等は上記に同じ
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