「ケア相互補完型集住」シェアカルテ13 愛知県初のシングルマザー向けシェアハウス。住まい、ケア、就労支援がセットになった自立支援型シェアハウス「パークリンク米野」

今回ご紹介するのは、愛知県初のシングルマザー向けシェアハウス。シングルマザーの自立に欠かせない、住まい、就労、育児・家事ケアがパッケージ化された理想の住まいです。立地も、名古屋駅から徒歩十数分。お話を頂いた、(株)リンクリンク大津たまみ代表、また、長谷川恵子様。ありがとうございました。

〇 入居の条件は自立を目指していること

 住宅市場から排除されがちなシングルマザーに門戸を広げ、様々なサービスをかしこく付帯し、その住生活をトータルに支える仕組み。ここ数年、全国各地で企業によるシングルマザー向けシェアハウスの開設が相次いでいる。シングルマザーに対する公的住宅施策が手薄な現状において、ここに救われる母子は確実に増えてきている。

社会貢献色が強いとはいえ、これらはあくまでも営利事業である。事業者側は、建物にかかる費用や水光熱費、生活支援サービス費などを合算して月々の住居費をはじき出し、おおよそのターゲット層を定める。

理想の入居者像は「正規の職に就き、安定した収入のある人」。これが事業者側の本音だろう。しかし、シェアハウスニーズのボリュームゾーンは、離婚前の「仕事なし、行き場なし」の女性と子ども。近年では、入居要件を緩和し、最低限の条件として「家賃が支払えること」とする事業者も増えつつある。だが、その一方で、家賃不払いリスク回避のための条件も必ず準備されている。つまるところ、家賃の支払いもままならない、真に生活に困窮する母子へのシェアハウス事業モデルは未開発ということである。

そんな中、「より経済的な支援も必要なシングルマザーをターゲットにします」という条件を掲げる事業者が登場した。それが今回紹介する「パークリンク米野」だ。場所は名鉄線米野駅から徒歩1分、名古屋駅からは歩いて15分程度。とても利便性の良い住宅街の一角にある。

写真1 左:ハウスから十数分で名古屋駅へ。右:中村区にあるハウスの外観

建物は木造の2階建て。玄関を入ると左手に18畳ほどのLDK、テーマカラーの真っ赤なシステムキッチンがひときわ目を惹く。6室のうち、4室を居室として利用し、1階の1室を子どもたちの学習室に、2階にある1室を、居住者のクローゼットとして開放している。居室は4.5畳。ここに1.5畳ほどのロフトがついている。各居室には、ソファベッド、収納デスク、ハンガーパイプなどが備え付けられており、すぐにでも新生活がスタートできるよう配慮がなされている。

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写真2 1階のダイニングキッチン(出所:http://ameblo.jp/shinmama7/entry-12223036122.html )

写真3 左:一階奥の多目的室(子どもの学習室やカウンセリング室を想定)、右:2階の1室をクローゼットに(筆者撮影)

写真4 1階にバストイレ、2階にはシャワー室とトイレが。2台ある洗濯機は無料(筆者撮影)

〇住宅を基軸にあらゆる支援を提供する

月家賃は30,000円、そこに、生活支援費として26,500円が加算されるが、初期費用や保証人は不要だ。何より、驚かされるのは、最初の2カ月は家賃が無料という点である。

 写真5 4.5畳の居室はそれぞれ壁紙も工夫されている。梯子を上がれば1畳ほどのロフトが。(筆者撮影)

「住宅に仕事に子育て。そして何よりお金のコト。離婚直後は様々な心配事がいっぺんにやってきます。その時期にせめて住まいの心配をせずにゆっくりと生活の立て直しをしてほしい」と(株)リンクリンクの大津たまみ代表。

 大津代表ご自身もまたシングルマザーとして、離婚直後には様々な苦難に直面し、極貧生活も経験したという。日々の食費にも事欠き、息子さんに「給食をたくさん食べて帰ってきてね」と送り出していた時期も。成長期の子どもたちにそんな思いはさせたくないと、平日の夕食提供を生活支援メニューに含めた。このほか、忙しく働くシングルマザーの助けになればと、掃除、洗濯サービス、放課後のチャイルドケアサービスも提供する。これらに加え、就職紹介も買って出るというのだから驚きだ。

実は、大津代表、ハウスクリーニング・家事代行業でおなじみの(株)アクションパワーの創設者。離婚後、子どもがいることを理由に面接を落とされ続けた経験が起業につながったのだという。

写真6 ハウスで開催されたお泊り会の様子(出所:http://ameblo.jp/shinmama7/entry-12223036122.html )

「生きていくために働く場所を自分で創る。」

コーポの一室を借り、たった一人で立ち上げた会社は、今や、多くの社員を抱えるまでに成長した。

 「各方面に関係者がおり、また、ありがたいことに、あらゆるところにサポーターがいます。そういった方々から求人に上がってこない情報を頂く機会も増えました。今後は、そういった情報をシングルマザーにつなぐというお手伝いをしたいと思っています。特に、重要なことは、企業側にもシングルマザーの生活を知ってもらうこと。シングルマザーを雇用する上で配慮すべきことを地道に伝えていくことが重要」と力強く語る。

 本来であれば、一つ一つ手探りで確保していかなければならない生活のアレコレ。住宅を軸に生活に欠かせない様々なインフラをワンストップで提供するという仕組みは、シングルマザーの早期の自律に大いに役立つことだろう。

写真7 左;子どもだけのお留守番時にも部屋の様子が把握できるようにと導入したカメラ付きロボット。右:大津たまみ代表のイラスト

  社会貢献としてのシェアハウス事業

他方で、採算性はどうなっているのだろうか。多くの読者が疑問に思っている事だろう。

 この点について、大津代表は「きっちりと、施策は練っています」とのこと。

 ハウス開設のきっかけは、成長した息子さんが代表にかけた「実は寂しかった」という言葉。たった1人での子育て。生活のためにと、働けば働くほど子どもと過ごす時間は激減した。母の大変さを知っているからこそ、息子さんは、寂しくとも黙ってその帰りを待ち続けたのだ。

事実、シングルマザーの子どもは、ひとりで過ごす時間が長く、孤食の割合も高いと言われている。「こういった課題を解消するためにも、シェアハウスという手段は有効」と大津代表。更に、代表の心を突き動かしたのは、2014年に大阪でおこった2児放置餓死事件。若く、地域社会から孤立した母親が自身の子ども2人を長期にわたり放置し餓死させてしまったのだ。

「誰かがその母子に手を差し伸べていたら状況は変わっていたかもしれない。重要なのは、母子の孤立を防ぐこと。まずはその環境づくりが必要」と一念発起したのだ。

ハウスの立ち上げに際しては、「運営を自社で抱え込まないこと」を方針とした。

社会貢献事業として、あらゆる分野の関係者に協力してもらうことで、シングルマザーへの理解がより広がると考えたのだ。

そこで思いついたのが、和民の創業者である渡邉美樹氏が代表理事を務める「公益財団法人みんなの夢を叶える会」企画への応募。これに選出されれば支度金や協賛企業などと手を組むことができる。ハウスの運営計画を丹念に練った申請書は最終選考まで残った。そして、20162月、2,000人もの聴衆の前でシングルマザー向けシェアハウスの必要性を訴える機会を得た。大津代表のリアルなプレゼンは聴衆の心をわしづかみにし、結果、見事グランプリを受賞したのだ。2017年1月より入居募集がスタート、20172月現在、3組の母子が入居を希望しており、1組はすでに入居している。

入居基準は自立の意欲がある人。同伴児童は、居室の規模等も勘案して低学年までの子ども2人までとしている。

また、離婚直後のシングルマザーの生活を支援するという目的のため、入居期間は上限1年半程度としている。これは、より多くのシングルマザーに利用を促すためだ。

今後は、サポーター企業を増やし、全国的にパークリンクのシリーズ化を目指すという。

これまでになかった、シングルマザー向け自立支援型シェアハウス。今後も引き続き、モニタリングを継続し、その効果等を検証していく予定である。

 

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〇 お問い合わせ

(株)リンクリンク (代表 大津たまみ)

Address: 名古屋市中村区名駅南11927 5F

Tel:       052-414-7275

e-mail:    info@link-1.net

Website http://リンクリンク.com/ (お問い合わせフォームあり)

ハウスの日常はブログから⇒ http://ameblo.jp/shinmama7/entry-12223036122.html

名古屋駅から徒歩13分。近鉄米野駅から徒歩1

 ※公益財団法人みんなの夢を叶える会の情報はコチラ http://www.yumeaward.org/

 

 

 

 

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