地域循環型コミュニティを目指す 「ぐるぐるそだつながや 内 シングルマザー向けシェアハウス ideau」の挑戦

2019年7月、大阪市平野区にて長屋改修型シングルマザー向けシェアハウスideauがオープンした。
 大阪メトロ谷町線の喜連瓜破(きれうりわり)駅から徒歩10分。ハウスは住宅街の只中にある。

今回ご紹介するのは、築50年にもなる6連棟長屋の3棟を5世帯向けのシングルマザー向けシェアハウスに、3棟をファミリー向けに改修。その向かいにある、4連棟長屋の一部分を地域のコモンスペースとしてリノベーションしたユニークな事例。

図1、図2ぐるぐるそだつながやイメージ図
出典:事業者HPより転載


〇なぜ長屋?なぜシングルマザー向けシェアハウス?

この空間を企図したのは、長屋オーナーの綿谷茂さん。

数年前、最後の高齢夫婦が退去したことを機に、その再生に真剣に向き合うこととなったという。

更地にして、ありきたりなものをつくるか。これを再生するか。

前者であれば、比較的簡単にことはすすむ。しかし、後者となると、費用も、時間も、マンパワーも必要となる。それにも拘わらず、綿谷さんは後者を選択した。

 

写真1左 コモンスペース前の空間 写真2右 コモン棟の外観(葛西撮影)

「うちの長屋は、たこ焼き屋にラーメン屋、クリーニング店などが入ってにぎわっていた時期もあったんです。周辺にも、商店、町工場、長屋にはじまり、喫茶店、食堂、銭湯など人が集える場所がたくさんあった。それらも、ほとんど新しい住宅に建て替わってしまいました。人が交流する場そのものが全くなくなってしまったのが悲しい。このままでいいのかなという疑問は常にありましたね。」と再生にかける思いを語ってくれた。

 地元行政が開催する空き家活用セミナーに参加したことで漠然と描いていた理想は確信に変わる。

 そこで志を同じくする仲間に出会い、頭の中にあったイメージを共に具現化していくこととなったのである。

綿谷さんは、このユニークな空間にぐるぐるそだつながやというネーミングを与えた。

この地域でいろんな出会いがぐるぐるとつながり育っていくという意味合いが込められている。利用する人やその用途によって、空間の表情もぐるぐる変わる。そんなイメージだ。

このぐるぐるそだつながやに、シングルマザー向けシェアというコンセプトを提案したのが、ideau(イデアウ)を運営する株式会社Peace Festaである。

 同社代表の越野健さんはこれまでにも多様な人々の器となるシェアハウスをプロデュースしてきた。2017年冬、のちにシェアハウスの共同経営者となるシングルマザーの安田委久美さんとともに、綿谷さんが企画したワークショップに参加し、その場が持つ力に魅了されたという。

 不思議な縁が重なり、長屋の一部をシングルマザー向けシェアハウスideauとする計画が進んでいくこととなった。

〇 居住者が計画に参画する“しかけ”

図面のように、改修プランに関しては、キッチンを共有空間として確保、バス、トイレなどの水回りは各居室に設置することが決まった。

この点については「トイレやお風呂が共有だと、使い方や順番待ちなど、いろいろな面でストレスだと思います。特に、体の調子が悪くなった時にはみんなが気を遣い、ゆっくり休むこともできない。特にこだわりたいポイントでした。」と安田さん。

このように、住み手が改修プランの計画段階から参画している点もideauの特徴の一つである。

図2 シェアハウス図面
               出典:事業者HPより転載

 運営方法は、株式会社Peace Festaが綿谷オーナーから3棟分を一括で借り上げ、入居者にサブリースする方式をとっている。

家賃は、一律7万円。ここには、水道とネット代が含まれる。なお、入居時に無職の場合には、入居後2カ月間は家賃を4万円に減額する。

仕事もなく、離婚し、住宅探しに躓くというシングルマザーは非常に多い。その大変な時期を、少しでも応援しようと始めた仕組みだ。

 7月の開設から1カ月ほどで4組の入居者が決まった。

これは、きわめて順調な滑り出しだと言える。なんといっても、シングルマザー向けシェアハウスは、集客が極めて難しいのだ。

シングルマザーシェアハウスの知名度は徐々に広まってはいるが、全国にまだ30か所ほどしか事例がない。このため、シェアハウスの情報がうまく住宅に困るシングルマザーに伝わっていないという課題がある。更に、ハウスの周辺に空きのある保育所や学童保育があるか、母親自身の職場の事情など、周辺の環境が働くシングルマザーのニーズに充分にマッチしているかということも重要なポイントになる。

実は、こういった配慮を欠いたため、開設してもなかなか入居者が集まらないというケースは少なくないのが現状なのだ。

では、ideauはそこをどう乗り越えたのか。

先に建物ではなくコミュニティを作るのがポイント」と越野代表。
 SNSなどのツールを使って、コンセプトを掲げ、そこに共感できる人をまず集める。

その後、深い議論を続けながら、最終的に手を挙げた人が入居者となる仕掛けをつくる。

先にニーズをとらえて、建物を確保する。時間はかかるが、当てが外れて空室が残るというリスクはかぎりなく低減できる。このように、ハウスづくりに入居者がかかわるという仕組みは、コレクティブハウスの運営手法に近い。

また、議論の過程で、それぞれの考え方や性格があらかじめ共有されているため、入居後「こんなはずじゃなかった」という大きなトラブルが回避できる点もメリットだ。

採用外観リビング採用採用トイレ

採用居室

写真3~6 ハウス内容の様子
 https://motherport.net/fudo/1476?bk=&shu=&mid=99999&nor=99999 より転載

〇ハウスでの生活

開設から半年。イベントも様々開催し、地域との関係も少しずつ紡いできた。

ハウス向い、コモンスペースの一階食堂スペースは、有志によるシェアキッチンレストランが開店したり、自家焙煎珈琲店になったり、イベントスペースになったりする。

また、二階寺子屋スペースは、セミナーを開いたり、地域の子ども向け教室になったり、お母さんのリラクゼーション教室になったりと、まさにぐるぐると場のテーマが変わる。

 筆者が訪問した日には、地元企業がスペースを貸し切り、そうめん流しイベントを開催していた。このように、ぐるぐる長屋は地域の柔らかな接点となりつつある。

 居住者同士の関係も良好だ。

写真7は、筆者がハウスの夕食にご招待いただいた時に撮影したもの。ハウスの近所に住む、料理好きのシングルマザーさんが、腕を振るって作ってくれたのだ。

メインのたこ焼きが焼け始めると、居住者や子どもたちがバラバラと食卓に集まってくる。

夕食.jpg

写真7 ある日の夕食の様子(葛西撮影)
「ランドセル、高かった。でも増税前に買ったよ!」

「よかったね~何色~?!」

「制服高いよね。困ったな。」

「新しめのおさがりがあるって聞いたから聞いてみようか?」

と、瞬時に情報交換の場になるのもシングルマザー向けシェアハウスならではの光景。

育児に仕事。学校行事への参加など。一人何役もこなすシングルマザーは日々しんどいこともたくさんある。でも、仲間が集まり、知恵を出し合うことで、悩みや負担が軽減できる可能性は十分にある。

 かつてあった、長屋のコミュニティのように、少しおせっかいだけど暖かい。それを具現化したようなぐるぐるそだつながや/ideau。
 今後も、きっとユニークな発想で我々を驚かせてくれることだろう。

 もし、あなたが、たったひとりの子育てに孤独を感じていて、そしてシェアハウスに少しでも興味があれば。是非、下記まで問い合わせてほしい。

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【お問い合わせ】

株式会社Peace Festa(担当安田)

Mail: hello@peacefesta.com

080-3782-9430

 

 

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